言葉には人を変える力がある
言葉には暗示の力が秘められており、どんな言葉をかけるかで選手の心は大きく変化します。
指導者は無意識に選手に暗示をかけているのですが、その言葉が持つ暗示を理解することにより、より効果的に変化を促すことができます。
暗示には大きく4つの種類があります。
A)直接暗示
「これに取り組めば、こうなれるよ」「そうやっていけば、こういう可能性が広がるよ」
言葉で直接的に伝えることで選手自身に、未来をイメージさせることができます。
B)間接暗示
「⚪︎⚪︎選手は、この練習に取り組み、今がある」「子どもの頃から、こういう思考でいたから、⚪︎⚪︎のようになった」
プロ選手などの体験例から、間接的に選手にイメージさせて、自分にもできると思わせることができます。
C)ボディーランゲージの暗示
喜んでいる表情、その調子という表情や仕草により、ポジティブなメッセージが伝わると、選手の気持ちは自然と上がってきます。
D)念じる暗示
相手を見ながら「きっとできるよになる」と念じることは、非論理的に見えますが、可能性を信じてもらえていることが伝わり、「自分はできるようになる」と選手にポジティブなイメージを抱かせて、チャレンジしていく自信を育むことができます。
どんな言葉をかけるのか?
言葉の持つ暗示の意味を正しく理解していないと、意図したこととは逆の暗示がかかっているケースはよくあります。
例えば指導者が「ミスするな」と言えば、選手は「ミスする」ことが頭に浮かび、ミスするという暗示にかかってしまいます。
指導者はミスに気をつけて、成功に導いてほしいという意図を持っていることは、考えればわかりますが、潜在意識においては「ミスする」という部分が強く残り、ミスしやすい暗示にかかってしまいます。
「ミスするな」のような否定的な言葉ではなく、「どうすれば成功できる?」とポジティブな方向に意識が向く言葉をかけることにより、潜在意識に「成功する」という暗示がかかり、結果としてミスがなくなります。
また「廊下を走るな」の表示も走ることが連想され、走ることをやめることはできないです。むしろ「廊下は歩こう」と表記することにより、意図した暗示をかけることができます。
意図した狙いは同じでも「どんな言葉をかけるのか?」によって、潜在意識に働きかける暗示は全く真逆の意図に変化します。
指導者は無意識に使っている自分の言葉を見直して、ネガティブな言葉をポジティブな言葉に変換した自分だけの辞書を持つことにより、言葉の力を最大限いかすことができるようになります。
言葉には人を変える力があることを理解して、否定的なネガティブな言葉ではなく、肯定的なポジティブな言葉を選び
潜在意識に意図した暗示をかけ、意図した変化を促していけるように意識する必要があります。
言葉の変換辞書
ミスするな→成功させよう
走るな→歩こう
適当にするな→今何が目的?
遅い→テキパキやろう
なぜできないのか?→どうしたらできるかな?
そんなことしていたら上手くならない→上手くなるにはどうしたらいい? etc…