速さと早さを磨くために
岩谷篤人氏の考える速さと早さについて。
速さは必要ではあるけど、速さだけを追求しても絶対に世界で一番速い選手になることはない。速さは、どんなに追求しても限界がある。
早いかどうかは、その局面において常に相手より早いかどうか。
相手を遅くしているから、相手より早くなる。
触る前から逆を取っていたり、何かが入っている。
読みにいくいプレーでありつつ、相手にとって嫌なプレーである。
速さと早さの書き分けについては、物理的な速さと相対的な早さの混同をさけるために、分けて書いています。
速さは、物理的な速さ
ボールタッチの速さ、走る速さ、ステップの速さ etc…
早さは、相対的な早さ
相手より早い、相手を遅くすれば自分が早い etc…
相手のことを想像しているのに、速さを追求する
乾貴士選手に、育成年代の頃フリードリブルで何を大事に練習していたかを聞くと「フリードリブルでゆっくり触るというのはない・・・速く触っていく。相手がいない中でドリブル練習するからには、どれだけ速く触れるか。ゆっくりはない・・・」
岩谷篤人氏も指導時に「もっと速く触っていく。相手のことを考えながら、無理なタッチで、ミスするぐらいのタッチで触っていく」
これはフリードリブルで伸ばすべきは、ボールタッチの速さや思わぬミスタッチからの無理な体制でボールを触る速さ、ボディーバランスを鍛えていくことにあります。
その際に絶対に外せないのが、相手をイメージして練習することです。
「相手の足を想像して、どんな相手とやっているのか?」
しかし、イメージを描かせることを重視し過ぎてフリードリブルをゆっくりと練習していると、上手そうには見えるけど・・・
自分のできる範囲で自分勝手に触っている練習となり、実際のゲームで自分より速い相手に圧倒されるだけになってしまいます。
「フリードリブルに、ゆっくりはない・・・速さ!」乾貴士選手が今でも明確に答えるということは、岩谷篤人氏に徹底して速さの追求をさせられてきたと想像できます。
相手のことを想像しているのに、速さを追求する。
そのふたつを切って考えれば、片手落ちとなり、上手いけど・・・となりがちです
では、早さは?
相対的な早さは、相手がいて初めて存在する
早さはフリードリブルの中ではなく、相手のいる対人メニューの中で磨かれます。
逆をとること
相手を遅くさせること
メリハリを効かせること
わからないようにプレーしていくこと etc…
フィジカルの速さ強さではなく、脳が相手にわかりにくいようにプレーしていくことを練習していく中で磨かれていきます。
その際に
何でもいいから相手の逆を取って遅くすればOKと指導してしまっているのか?
相手が嫌なことを閃いていくように指導しているのか?
その違いによって、
その選手が閃いた早さが、速さとして相手を圧倒するかどうかは決まってきます。
何を閃めくように指導していくのか?指導の奥深さがあります。
◇ 岩谷篤人氏について
セゾンフットボールクラブ創設者・総監督。
1984年にセゾンフットボールクラブを創設。近隣に集まる子ども達から多くのプロ選手を発出し、乾貴士選手も小中高と岩谷篤人氏の指導を受けたひとり。
育成年代の指導に関して「試合に勝つこと」「選手を育成すること」「観る者を魅了するフットボールをすること」のすべてができるスペシャルワン。
2001年から10年間、滋賀県立野洲高校のコーチも務め、2006年決勝戦では高校史上最も美しいゴールと呼ばれる決勝点で見事に野洲高校の日本一に貢献。
近年は全国の指導者の育成に取り組んでいます。